武蔵大洋弓部の誕生談義

＊きっかけは？

　カミナリ族の横行、人形のダッコちゃんブームが去り東京オリンピック開催一年前の昭和38年、私が大学2年生の時でした。アメリカではケネディ大統領が撃たれて亡くなった年であり、日米間衛星放送初のビックニュースとなりました。歌は舟木一夫の「高校3年生」、梓みちよの「こんにちは赤ちゃん」がヒットしていた年でもありました。

ゼミ仲間（向山教養ゼミ）のT君と行動を共にしていた或る日の或る時、大学を卒業するまでに何か新しい事をしてみたいという野望が二人の間に生まれました。とりあえず、四大学の中で成城・成蹊・学習院に存在し武蔵に無い運動部を
探索しようということで色々と調査したところ、洋弓部が標的となりました。

洋弓というとロビンフットが頭に浮かび、なんとなくカッコ良く、女性にももてそうであり、（当時、武蔵大学には経済学部しかなく、女子学生は各学年で数名しかおらず、多くの男子生徒は女性に飢えておりました。）即座に合意しました。

＊発足までの活動は？

　大学の学生部へT君が中心となり相談を持ちかけたところ快く受け入れて頂き、まず教授の中から部長になって貰える方を決めるように指示がありま
した。部長にはT君と私が所属していた向山教授（後の学部長・名誉教授を経て現
在は定年退職されてます）にお願いし、早速部員勧誘活動に入りました。
部員数を増やすための手っ取り早い方法として、まずゼミ仲間を誘うことと
し、結果K君・S君が加入してくれました。その後一年後輩の2人が加入しました。
我々同期4名が3年生になった時、2年生の2名と共に新入生3名が加わり、ようやく試合に出場できる人数となりました。昭和39年、まさに東京オリ
ンピックの年でした。（この度のOB/OG会会則改定で、総会の開催を夏
季オリンピックの年となりましたが、何かの縁を感じます）

この年の8月に創設以来初の合宿を、軽井沢信濃追分で実施しました。

的作りは全て手作りで現地の畳屋さんから古畳を無償でわけてもらい畳を運ぶリアカーまで貸して頂きました。（古畳の調達は洋弓部第2期生でOB/OG会元副会長の田口君が大活躍でどこに行っても畳屋を即座に探し出し無償での提供を交渉して成功しました。古畳調達の名人でした。これも彼の人徳の成せる業と思います）

宿泊先のご主人は練習のための庭をすすんで提供してくれたり、皆さんが親切に対応してくれた事を懐かしく思い出します。

＊練習場は？

　銀座7丁目にある「山葉ホール」の屋上に洋弓場があることがわかり、練習は銀座まで通っていました。先輩もコーチもいなかったため、洋弓場を管理していたおじさんに撃ち方を初めて教えてもらいましたが、ほとんど自己流で
した。銀座までは交通費が嵩み、また射場の使用料も自己負担せざるを得なく経済的負担が重くのしかかりました。さらに場所も遠方のため、近くに弓を打てる場所を探すこととしました。全員（特に洋弓部第2期第3期の後輩達が率先して）で学校から近い西武池袋線沿線の空き地を、徒歩で足に豆を作りながら探した結果適当な土地を見つけました地主にお願いし無償で提供して頂きました。今思うと良く貸してくれたものです。本当にありがたかったです。

また、ほぼ同時期に学校側にも交渉して、運動場の片隅にわずかなスペースでしたが練習場を確保することができました。的は古畳を畳屋から譲り受け皆で手作り作成しました。

距離が短かったため、型の練習のワラ撃ちのみでしたが、校内に練習場が完成したことを皆で喜びあいました。

＊初試合は？

　初めての対外試合は四大学祭で成城か成蹊かどちらの射場で行われたか失念しましたが、初参加の我々を他3大学の人達が温かい目で応援してくれました。成績は勿論、第4位でした。参加する事に意義がありました。

日本女子大学の洋弓部員と練習試合後の記念写真

＊むすび

　僅か数名でスタートした武蔵大学洋弓部が、OB/OGに現役を含め今や約
400名の大人数となりました。驚きと同時に誠に喜ばしい限りです。これ
は後輩の皆さん一人一人の力の結集です。武蔵大学洋弓部は、部員同士の結婚あり、総会には子供達の参加あり、等々創設以来伝統的に家庭の雰囲気が漂う楽しい部です。今後、さらに発展することを祈念します。

現役の皆さんへは、部員数も増加したようですので今より一層の訓練を重ねリーグ上位を狙って頑張ることをOB/OG一同沢山の先輩達が応援してます。
頑張ってください。

フレー　フレー　武蔵！！！

平成24年3月吉日　久保田　修弘